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 いま、金融、つまり「お金」をめぐる現状は、コロナ禍やその後の円安、物価上昇などの影響で激変している。子どもの環境・経済教育研究室代表でファイナンシャル・プランナーの泉美智子さんは、監修を務めた『改訂新版 節約・貯蓄・投資の前に 今さら聞けないお金の超基本』(坂本綾子 著)の前書きで、経済の「不確実性」について述べている。

「消費者も企業も不確実性のもとで意思決定を日々繰り返さなければなりません。不確実性のもとでの意思決定はリスクが伴います。リスクへの対処の仕方について学ぶことも『お金の基本』だと、今、改訂新版を監修するにあたり痛感しています」

 日々、意思決定を繰り返しながら生活している「普通の人々」は、突然降りかかってくるリスクにどう対処しているのだろうか。泉さん監修のこの本から、いくつかの事例を紹介したい。

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夫の仕事が激減→役割分担と家計の見直しで乗り切った

「共働きでよかった!」。2020年の末、千葉県に暮らす30代夫婦は実感していた。夫は飲食店の店長。コロナ禍直撃により、かなりの期間、休業せざるを得ず、収入は激減した。妻は、フリーランスのライターでウェブサイト向けに執筆している。年中の男の子がいるが、フリーランスのため収入が不安定、労働時間もわかりにくいとみなされ審査で不利になり、保育園になかなか入れなかった。ベビーシッター代がかさんで仕事を辞めようかと思ったこともある。やっと入園できたのは2019年4月だった。

 保育園への送り迎えや仕事が軌道に乗ってきた頃、突然始まったのがコロナ禍だ。休業状態になった夫とは逆に、妻への仕事の依頼は急増。「私にとってはチャンスだし、あなたの収入が減った分を補いたい」。妻は夫にそう宣言し、依頼された仕事を全部引き受けて、必死で働いた。その結果、夫婦合わせた世帯年収は、以前とほぼ同じ金額を維持することができた。

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ふるさと納税と確定申告の関係