見た目のクールさゆえ、寡黙に思われることも多いという。「でも、仲良くなったらずっと喋ってますし、ボケてます」[撮影/蜷川実花、hair & make up 奥山信次(B.sun) styling 寒河江健 costume Ferragamo]

 ドラマいちばんすきな花」で主演の一人を務める神尾楓珠さん。「高校生活の思い出作り」で芸能界に入ってから、気づけば8年が経った。AERA 2023年11月6日号より。

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――ドラマ「いちばんすきな花」では幼少期の苦い記憶を消化しようと思い悩む四人の姿が視聴者の共感を呼んでいる。神尾自身にもそうした経験はあるのだろうか。そう尋ねると、しばらく考え込んで、丁寧に言葉をつないだ。

神尾:昔から、何をやっても一番になれませんでした。僕は次男で、すごい目立ちたがり屋のお兄ちゃんがいるんですけど、最初に何かを与えられるのはお兄ちゃんで僕は二番目。サッカーをやっていたときも、一位になった記憶があんまりないんです。足も速かったんですけど、クラスでは一番になれても、学年では二番とか三番で。ちょっと世界が広がるだけで、こんなに一位になれないんだ、みたいな経験が多かったんです。

自分の全力で取り組む

――幼い頃からサッカー選手を目指し、強豪校にも入学した。その後、サッカーに区切りをつけ、「軽い気持ちで」参加したオーディションに合格。16歳で芸能界に飛び込んだ。主演の椅子に座れる役者は一握りの厳しい世界で、かつて一番になれなかった青年はドラマや映画で主役を演じるようにもなった。だが、そんな状況をどこかで俯瞰(ふかん)しているように見えるのは、やはり長年続けたサッカー経験に由来するのだろうか。

神尾:確かにそうかもしれません。サッカーもポジションによって役割があって、それを乱すと一気に崩れちゃったりするんです。しかも、自分がやっていたサイドバックというポジションは、今でこそ注目されていますが、縁の下の力持ち的な役割なので、「俺が俺が」というタイプでもないんです。

 一番になれないことに劣等感を感じていたときもありました。ただ、何か明確なきっかけがあったわけではないけれど、高校生になったぐらいからそうした状況も受け入れられるようになりました。いろんな経験を繰り返すなかで、「何事も上には上がいるよな」と思えるようになって。一位にはなれなくても自分の全力でやってみよう、という取り組み方ができるようになりました。

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福井しほ

福井しほ

大阪生まれ、大阪育ち。

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