情報が情報を呼ぶ。
情報は情報を誘導する。
このことは本書がたいそう重視していることだ。「情報は孤立していない」、あるいは「情報はひとりでいられない」ともいえるだろう。また、「情報は行先をもっている」というふうに考えてもよいかもしれない。
情報が情報を誘導するということは、その誘導にはおそらく柔らかい道筋のようなものがあるかもしれないということだ。また情報に行先があるのなら、その行先をうまく予測しさえすれば、あらかじめ単語や概念のネットワークをつくっておくこともできるということだ。
もしそうだとすれば、〈単語の目録〉をいちいち〈イメージの辞書〉に対応させずとも、〈単語の目録〉の内部だけでも一定の連環をもてるようになる。単語と単語がリンクを張りあって、それだけでも連鎖してくるのだ。これは、〈単語の目録〉が内部構造をもったというふうに考えることができる。単語リストがそれぞれ樹木状につながり、リストからリストへ移動する指示セットが用意できたからである(このことを専門的には「有限状態モデル」とか「マルコフ・モデル」という)。
連想ゲームは、このようなことを私たちに示唆してくれる。
かくて私たちは、連想ゲームなどの遊びをとおして、〈編集的状態〉というものがどういうものかということを知っていく。情報の連鎖の中にいかに入っていくかということ、そこにこそ編集の秘密が待っている。