米国はあのイラク戦争から何を学んだのでしょうか。それどころか、ハマスのイスラエル攻撃を、イスラエル版「9.11」と喧伝し、イスラエルのタガの外れた自衛権の行使を追認するとすれば、ロシアのウクライナ侵攻を非難できるのでしょうか。国際社会は、そうしたダブルスタンダードが我が物顔に闊歩する不条理に気づきつつあります。今後、イランやトルコの介入次第では、中東全体に戦火が拡大し、ウクライナでの戦争と関連して世界は制御不能の戦火の延焼に覆われるでしょう。
今回、安保理では奇しくも日本は中国と足並みを揃えることになりました。中東の石油に依存せざるを得ないという点では中国も日本も、さらに韓国も同じです。東アジア諸国は、安全保障上の対立があっても、中東の平和と安定という点では共通の利害を分かち合っており、連携が必要であることを端なくも浮き彫りにしたと言えます。嫌中、反日だけでは行き詰まってしまわざるをえないのです。
※AERA 2023年11月6日号