2023年9月8日、1998年から2019年にかけて福井県勝山市で見つかった恐竜の化石が新種と認められたことがニュースになった。草食系のグループに属すると考えられる恐竜ながら、骨の一部が肉食恐竜ティラノサウルスの仲間によく似ていることから、「ティラノミムス・フクイエンシス(福井産のティラノもどき)」と名付けられた。
白亜紀前期の約1億2千万年前の地層で発見された化石は、頭や足の骨など55点。多くて40個体のものが混在しているとみられているという。ティラノミムス・フクイエンシスはその化石から、両前脚に小さな翼がったこと、後ろ脚が長く走るのが得意だったとみられることがわかっている。
恐竜の化石は、私たちにさまざまなことを教えてくれるのだが、骨の化石のみならず、「足跡」の化石が教えてくれることも多い。11月7日発売の学習まんが『恐竜世界のサバイバル2 改訂版』(文 洪在徹/絵 相馬哲也/監修 平山廉)が、その詳細を伝えている。
足跡の化石が見つかるだけで、まず、その場所に恐竜がすんでいたという事実がわかる。そして、どの仲間に属するどんな種の恐竜かがわかる場合もある。足跡の大きさから恐竜の体の大きさを推定することもできるし、同じ場所に同じ足跡がたくさん見つかれば、群れで生活していたと推定することもできる。足跡の歩幅から、その恐竜の歩く(走る)速度がわかることもある。
そもそも「足跡」は、どのようにして化石になるのだろうか。
湿った粘土などでできた地面では、恐竜が歩いた足跡がそのまま残ったと考えられる。もちろん、その後消えてしまうものがほとんどだが、乾くまで残っていた足跡に泥や砂などが積もって固まると、足跡が地層の中に保存される。さらに運がよければ、長い年月がたつうちに地層の中で熱や圧力を受けて化石になり、数千万年以上を経て、私たちの前に姿を現すのだ。