「入社後にどう成長できるか、どんな専門性を高め、多様な経験ができるのかを考えるきっかけにしていただきたいと思います」
たしかにインターンの重要性は増しているが、それがすべてではない。中央大学理工キャリア支援課長の五十嵐星汝(せいな)さんは言う。
「企業はインターンだけで採用する学生を絞り込むわけではありません。春の本選考からが本番です」
同大理工学部は、学生が「焦ってインターンにエントリーして、なんとなく就職先を決めてしまう」という事態を避けるため、学内ガイダンスを開いてルールや注意点を説明している。
学内ガイダンスの初回開催は、5年前なら5月の大型連休明けに設定していたが、インターンの早期化を受けて年々早まり、今年は就職ナビサイトが4月に開設するのに合わせ、4月第1週に開催した。
「5日以上ではなく、1日限りの仕事体験でも参考になるはずです」(五十嵐さん)
明治大学は低学年次からのキャリア教育に力を入れ始めた。就職キャリア支援事務長の山田浩哉さんは、「早期に就職先を決めないといけないからではありません」と真意を説明する。
「就活の早期化が進むからこそ、自分はどのようなキャリアを築くか、プライベートを含めたライフプランをどう考えるか、将来を考える機会を低学年に提供する必要があると考えているからです」
昨年、明治大学の1、2年生限定で参加できるオリジナルの就業体験プログラム(MeijiJobTrial)を立ち上げた。プログラムは、3日間15時間以上、夏休み期間中に開かれる。今年は、趣旨に賛同した約250社が受け入れに手を挙げた。
大学では、プログラム終了後に、就職キャリア支援センターの職員と学生が一対一で面談する時間を設ける。プログラムを通して得た学びや気づきを踏まえて、大学での次の学びにつなげてもらう。こうして学生は目的意識をもって学業に取り組み、就職活動にも入っていける。企業にとっても、しっかりした職業観を持った学生を採用できることになる。(編集部・井上有紀子)
※AERA 2023年10月23日号より抜粋