イスラエルにとって、これは単なるテロ組織との闘いではなく、むしろISISに似たグループとの闘いなのだ。日本の読者は、フリージャーナリスト後藤健二氏が2015年、シリアでISISに拘束され殺害された事件を覚えているだろう。同じような悲劇が先週の土曜日にイスラエル南部で1200人に起こったのだ。

日本の冷淡な対応に驚き、失望 人びとの善意が利用されている

 イスラエルに対する国際的な支援は世界中から寄せられている。バイデン大統領は明確な連帯を表明し、他の敵が第二戦線を開くのを阻止するために米海軍機動部隊を派遣した。英国、フランス、イタリア、ドイツ、インドもイスラエルに味方している。ロシアの侵略と命がけで戦っている自由主義国家ウクライナも、ゼレンスキー大統領や最前線で戦うウクライナの戦士たちが連帯と支援のメッセージを送り、イスラエルに毅然とした態度で臨んだ。

 このような背景から、日本研究者であり、日本に留学し、日本とその国民に深い憧れを抱いている多くのイスラエル人は、日本政府の冷淡な対応に驚き、失望している。日本政府は、ハマスの大量虐殺行為に対する非難と、民間人を殺害したイスラエルの対応に対する同様の「懸念」との「バランス」をとっていた。この反応の背後にある中東における日本の利益(原油?)については、今のところ言及しない。日本の外務省が在外邦人や在外大使館の安全を案じていることは明らかであり、それは理解できる。そこには日本人の善意があるかもしれない。

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ハマスが人道的扱いを過度に要求するには理由がある