東山紀之新社長や井ノ原快彦副社長(左)は、ジャニー氏の性加害を「うわさでは聞いていた」と語っていた(撮影/写真映像部・松永卓也)

警察庁幹部は答弁を訂正

 追及は警察庁にも向けられた。

 阪上氏は「ジャニーズ事務所に対して警察庁も厳重注意を勧告されたと聞いておりますが、それはいつのことであったのですか」と問いただした。当時の警察庁生活安全局長は、「厳重注意、始末書をとった日時は、ちょっと手元に資料を持ち合わせておりませんが、間違いなく厳重注意、始末書処分をいたしておるところでございます」といったんは答弁したが、同局長は後でこう言い直した。

「厳重注意をいたしましたのは飲酒と喫煙の関係でございまして、淫行ということではございませんので、その点、修正をさせていただきます」

 その後、阪上氏は「今後警察庁としてどのように追及、捜査するのか」とさらに追及したが、局長は「今後とも、少年の健全育成のためにあらゆる施策、各種の法令を適用する」などと明確な回答を避けた。

 藤島ジュリー景子前社長、東山紀之新社長はともに、ジャニー氏の性加害について「裁判は知っていたが、弁護士が悪いと(メリー氏から)聞いていた」と繰り返している。だが、23年も前に国権の最高機関である国会で取り上げられ、国会議員から厳しく追及された事件だったのだ。やはり「知らなかった」では済まされないだろう。

(AERA dot.編集部・上田耕司)

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上田耕司

上田耕司

福井県出身。大学を卒業後、ファッション業界で記者デビュー。20代後半から大手出版社の雑誌に転身。学年誌から週刊誌、飲食・旅行に至るまで幅広い分野の編集部を経験。その後、いくつかの出版社勤務を経て、現職。

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