そのうえで、高齢者の半数以上が高血圧や糖尿病、心臓疾患などなんらかの持病を持っているとし、サウナや水風呂によって心臓発作や熱中症、脳卒中などの危険が一気に高まると警鐘を鳴らす。

「サウナは体に悪いと断言します。70代の高齢者に100メートルを全力疾走させるようなもので、その後に水風呂なんてもってのほかでしょう。若い人なら安全だとも、まったく言えません」

 とはいえ、サウナ後に水風呂で体を冷やし、ぼーっと休憩する。その心地よさに病みつきになる人が続出しているのも事実だ。

 こうした「サ活」がブームになっていることについて、梶本医師は、βエンドルフィンなどの「脳内麻薬」が関係している可能性を指摘する。マラソンランナーが、苦しい状態で多幸感をおぼえる「ランナーズハイ」と同じ状態だ。

「休憩時の心地よさを、ととのう、と呼んでいるようですが、『整う』の漢字は間違いなく当てはまりません。脳内を麻薬成分が浸しているだけで、体には大変な負担がかかっています」

 サウナ大国であるフィンランドの大学などの研究論文では、サウナに入る頻度が高い人は、健康長寿で心臓疾患などのリスクが低くなるとされ、この論文が「サウナ=健康にいい」という根拠のように扱われることもある。だが、実際にこの論文を読んだ梶本医師は、「サウナに通えば健康になる、ではなく、健康な人だからサウナに頻繁に通える、と解釈するのが正しいと思います」と異論を唱える。

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