23年6月にサウナの冷水浴で死亡事故が起こった「日光サウナリゾート」

 郡山地方広域消防組合の担当者はこう話す。

「データがないので他の地域との比較はできませんが、搬送件数が多いな、とは感じています。4割以上の人は持病がないのに体調不良を起こしたということで、持病がないから安心とは言えません。10代、20代で失神して搬送された方もいます」

 首都圏で、「サ活」で人気になっている施設のある消防本部に聞くと、「営業妨害になるので自治体名は伏せてほしい」と前置きしつつ、サウナ利用者の救急搬送が少なくないとし「ブームの一方で、利用の仕方によっては危険だということが周知されていないのではないか」と話した。 

 こうした調査結果などを見て、「やっぱりなという印象。搬送された人数は氷山の一角でしょう」と話すのは疲労の専門家で「東京疲労・睡眠クリニック」院長の梶本修身医師だ。

 サウナの健康効果について「健康に百害あって、一利くらいならかろうじてあるかもしれない」と、完全否定派の立場だ。サウナ好きの筆者には耳が痛いが、ブームの裏には“不都合な真実”もあるのだろう。

 梶本医師は、

「サウナのような高温の場所は自然界にはなく、そもそも人間は適応力をもっていません。水風呂も、人間は冷たい水の中で生活する経験をしていません。さらに、サウナと水風呂ほどの温度差も自然界にはないので、人間はそうした環境への適応力を備えていないのです」と指摘する。

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「ととのう」は脳内を麻薬成分が浸しているだけ