主要ネット証券で未導入の3社にも前向きな検討を期待したいところだが、このサービスは自社の利益を自動的に減らしていく仕組みになっていることがネックだ。
ネット証券は、あなたが保有する投資信託の残高に所定の料率を乗じた信託報酬を得る。定期売却で残高が減っていくのは痛い。
NISA口座で管理する金融商品は他社に移せないだけに、出口まで考えて金融機関を選びたい。
■売買履歴の保存期間
本来、NISAという制度は個人の長期的な資産形成をサポートする意味合いで創設されたものだ。
特につみたて投資は、可能な限り長く継続し、時間を味方につけることが大きな成果につながる。
それだけにトラックレコード(運用実績の推移)はできるだけ長期間にわたって検証できたほうがいい。
主要ネット証券5社では、売買履歴をどの程度までさかのぼってチェックできるのか?
創業以来、全期間の売買履歴をダウンロードできると回答したのは楽天証券とマネックス証券だった。
どちらも1999年創業なので20年以上も保存されている。これは地味にありがたい。
SBI証券でダウンロードが可能なのは過去2年間分。こまめにダウンロードしよう。
松井証券の場合は過去5年分までだという。売買証明書については、過去10年間までを月単位で指定して発行することが可能。ただし、12カ月ごとに1100円の請求料がかかる。
残るauカブコム証券については次のような回答が返ってきた。
「取引履歴は過去5年間分まで閲覧できます。ログイン後にマイページで『資産管理→電子交付→報告書等』と進み、『取引残高報告書』や『取引報告書』でご確認いただけます。また、今年分と昨年分については『取引履歴』でもご確認いただけます」
なお、自分がつみたて投資の対象に選んだ投資信託のパフォーマンスについては、NISA口座を開いている金融機関はもちろん、運用会社のホームページでも確認できる。
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編集/綾小路麗香、伊藤忍
※『AERA Money 2023秋冬号』から抜粋