時代が変わっても愛される古くて新しいメディア、ラジオ。ラジオの魅力を放送作家の鈴木おさむさんに聞いた。AERA2023年10月2日号より。
【写真】「令和のラジオスター」ともささやかれる、お笑い芸人はこの人
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僕は今、FM局のTOKYO FMとbayfm78、AM局の文化放送でラジオ番組のパーソナリティーを務めています。
ラジオって、じつはすべてのカルチャーが細分化されている今の時代に合ったメディアなんですよね。番組でテーマや方向性が違うし、パーソナリティーも声優さんや芸人さんがいたりとバラエティー豊か。そして、どの番組にも愛聴するリスナーがいます。広く浅くの手法でマスの顧客を獲得しにくい時代に、番組を通じて深いコミュニティーを作れているんです。
文化の継続や発展を考えるとき、僕が大事だと思うのはマネタイズの仕組みができているかどうか。その意味で今のラジオはすごいし、可能性を感じます。
たとえば、ニッポン放送の深夜番組「オールナイトニッポン」。1万7千人を収容する横浜アリーナでのイベントが、チケットは即完売。番組グッズも売れています。イベントの成功は、番組のスポンサーを呼び込む好循環にもつながっているはずです。
お笑いライブもラジオリスナーを持つ芸人さんは強い。コロナ禍で劇場ライブが難しくなったとき、YouTubeで配信する芸人さんが増えました。そこで収益に差が出たのが、ラジオ番組を持っているかどうか。
テレビで売れている芸人さんでも、劇場ライブで1万人集めるのはかなり難しい。でも、ラジオリスナーの“濃いお客さん”がいる人は、テレビで有名でなくても、万単位の視聴者を集めることができたんです。