バタフライに至っては、なんでしょう、もう、馬鹿野郎です。なんの罪もないのに馬鹿野郎呼ばわりされるバタフライには気の毒ですが、なんであんな奇妙な動きで前に進むことができるのですか。これも意味が分かりません。
あと、「飛び込む」ことができません。正確には「手から飛び込む」ことができません。足からです。足から水面にただ落下することしかできません。54年間、水面に手から飛び込んだこと、一度もありません。
小学校、中学、高校と、本当に水泳の授業は地獄でした。何度仮病を使って見学にしたことでしょう。ちょっと気になる女の子とかが見てる前で、わりとデカイ図体が、「ドバーン」と足から水面に落ちるわけです。で、ハタから見たらほとんど溺れてるようにしか見えない泳ぎ方で、泳ぎ方というか沈み方で、文字通り沈んでいくわけです。わりと必死の形相で。「ブハァッ!」とか言って。好きな女の子にそれを見られるというのは、もう、ほとんどこの世の終わりです。万一、その女の子が少しでも僕に好意を持っていたとしても、「あ、ダメだな、この男は」と思うに違いありません。みんながキレイに手から着水していく中、1人だけ両足から、恥ずかしいくらいの水しぶきを上げながら着水し、着水というか落水し、19センチ進んだのち溺れるように沈んでいく男を見たら、女性の皆さん、どう思います? 僕が女性なら、この男だけは願い下げだなと思うことでしょう。それどころか憎しみさえ感じるかもしれません。そのあまりの不細工な姿に激しい憎悪と殺意を感じるに違いありません。
精神年齢が低く、落ち着きがない僕は、「地に足がつかない。なんなら常に浮いている」とよく言うんですが、なんで水の中だと浮いてくれないんでしょう。おそらく、ただでさえテンパり気味なのが、水の中だと余計テンパるのでしょうね。
おしまい。