米中対立の行方は――。インドで9月9、10日に開かれた主要20カ国・地域首脳会議(G20サミット)を中国の習近平国家主席は欠席。米国のバイデン大統領は「失望した」と対話の機会が失われたことを嘆いたという。シンクタンク「新外交イニシアティブ(ND)」代表で、弁護士(日本・ニューヨーク州)の猿田佐世さんはこの夏、米国務省・国防総省の高官とも面談、米議会も細かく回り、米側の最新情報を得てきた。そのうえで、日本の立ち回り方を考察した。
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「軍事力を強化すればするほど、平和になるのだ」
8月のワシントン、きつく冷房の利いた米連邦議会の広い会議室で、私は米議会下院の中国特別委員会の担当補佐官と一対一で向かい合っていた。
この委員会は今年1月に設立されたが、設立後初の公聴会で委員長が「中国との競争は、21世紀における存亡をかけた戦いだ」と発言したり、その後も、委員会で米台合同軍事訓練の強化や台湾への武器売却の加速、周辺地域における米軍基地の拡充を求めたりするなど、現在の米議会の強固な対中強硬姿勢を作り出している元締のような存在である。