できる失敗は全部せな

──半年前の取材で、今年が踏ん張りどころだと。その後、変化は?

福本:なんやろうな。焦りのほうが強いですね、正直。個人的には、やっぱりもう1コ、変わんなきゃあかんな、と思います。このままやったらちょっと不安、みたいな気持ちもあるし、あとは……最近、昔やった失敗がめっちゃ恥ずかしくなるときがあるんです。いま思えばあのときなんであんなことしたんやろうなとか。例えば先輩のライブつかせてもらったときに、頑張らな、って思いすぎて、話に参加しちゃったりとか。そういう失敗、いまは反省できるんですけど、そのときは気づいてもいなかったんですよね。そう思うと、やっぱ失敗しないと人って成長せえへんなと思うんですよ。

 で、最近ほんまに、それ感じるんです。ドラマ2本やらせてもらって、バラエティー番組もたくさん出してもらえるようになって、いろんな現場行かせてもらって、すごい方たちと会うわけじゃないですか。それで自ずと、あ、僕ここ足りてへんなとか、そういうのわかるようになってきた、つもりです。まあ、いま自分ではできることを精一杯やってるつもりやけど、たぶん数年後の自分が見たら、いまの自分もいっぱい失敗してるんやろうけど。それでも、いまできる失敗は全部しなあかんな、みたいに思いますね。失敗できるのは若者の特権やと思うから。何事も恐れんと試して、武器を見つけないとな、って思います。

──以前、なんでも一つ軸を持ったほうがいい、と。アイドルとしての福本さんの軸は?

福本:必要とされること。もうそこ忘れたら絶対ダメやと思ってます。わかりやすく言ったら、感謝は忘れたらいけないってことですよね。あとは、たぶん僕らに対するファンの方の理想像みたいなのあると思うんですけど、そのままになったらいけないなと。つまり、理想そのもの、にはなったらあかんと思ってます。だって自分の思った通りのやつって、おもんないでしょ?(笑)。自分の知らんところがあるほうがやっぱ面白いし、僕らも、サプライズ感覚というか、新しいものを準備して、みんなを驚かせたい気持ちがあります。やっぱり、エンタメやから。

 いま、いろんなことをやらせてもらえるのは、本当にファンの方のおかげやと思ってます。新しいこと挑戦してもあんまり不安になりすぎずにできるのも、ファンの方は絶対見てくれるって信じてるからやと思うんですよね。これからも何かやるときは見ていてほしいなと思います。

(構成/編集部・伏見美雪)

AERA 2023年9月18日号より抜粋