「しかも、その意見が、相手にどう伝わるか相手を傷つけていないか、表現に気をつけて投稿する。そして、自らのネット上での発言を時々読み返し、自分はどういう書き込みが多いのか確認し、客観視することも必要です」
その上で、花田さんも投稿する際はワンクッション置き、冷静さを取り戻してほしいという。
具体的には「6秒我慢する」。これは脳内興奮物質のアドレナリンが分泌されるピークが6秒以内であることから「6秒ルール」と呼ばれ、怒りを自分でコントロールするアンガーマネジメントの教えの一つだ。花田さんは言う。
「すぐ送信しない、すぐ拡散しない。6秒待って、その言葉が相手にどう届くか、よく考えてほしい」
2019年の池袋暴走事故の遺族で、ネット上で誹謗中傷を受けた松永拓也さん(37)は、交通事故と同じように、ネットの誹謗中傷で苦しみ、命を絶つ人をなくしたいとの思いから、誹謗中傷対策の必要性も訴えている。松永さんは言う。
「法律で誹謗中傷の罰則を強化し、SNSを運営するプラットフォーム企業は誹謗中傷の投稿を削除する仕組みなどを確立する。道徳教育やデジタル教育など教育も大切です。こうして、あらゆる側面から対策を取っていくことが重要です。国は、どんな言葉が誹謗中傷に該当するのかガイドラインをつくってもいいと思います」
炎上目的、正義感、自分の意見──。どのような理由であっても、言葉は相手を傷つけることがある。松永さんは、こう言った。
「何を信じて何を言うか、言葉や表現の自由は尊重されるべきです。けれど、自分とは違う意見の人に対し、強い言葉で罵倒するのは違います。画面の向こうには、心を持った人間がいることをよく考えてほしい」
(編集部・野村昌二)
※AERA 2023年9月18日号より抜粋