ここでインターハイ登山団体競技の審査について解説しよう。

 登山の競技は、山登りのスピードを競うというわけではない。登山に必要な技術や体力、そして気象、地形、救急などに関する知識が求められる。

 これらを総合的に評価するため、項目ごとに異なる配点がなされ、合計点(100点満点)で順位が決まり、6位まで入賞となっている。項目は以下の通り。

 ①体力、②歩行技術、③装備、④設営・撤収、⑤炊事、⑥天気図の作成と解析、⑦課題テスト(共通課題〈大会開催地の山域の特徴など〉、自然観察、救急知識、気象知識)、⑧計画書(メンバー表、日程表、装備表、食料計画など)の作成、⑨行動記録(通過時間、天気、コースの概況、体調など)を記載、⑩読図技術(地図を読み取りコース上の地点を確認、⑪マナー(自然保護、消灯や起床の時間、迷惑行為など)。

 配点が高い項目は体力40点、課題テスト12点、歩行技術10点、読図技術10点で、ほかは2~5点となっている。

 岡山操山高校が体力、歩行技術に力を入れるのはうなずける。大きな得点源となるからだ。

 今井先生が練習内容についてこう話す。

「ふだんは、たとえば、体力、持久力をつけるために、荷物を背負って非常階段の1階から4階まで上り下りしています。制限時間を決めているのでかなりきつい練習になります」

 天気図の作成と解析、読図技術はどのように身につけるのだろうか。

「天気図について指導できる教員はいません。しかし、数年前、先輩が自学自習で天気図をマスターし、それが何代も後輩に伝わってきました。いまではほぼ満点近くとれます。これは純粋に生徒の力です。読図技術については最初は座学ですが、山に登るなかで学びます。先輩が後輩に教える流れを作る。それが山岳部顧問の仕事です。これからも生徒、顧問が深く考え、部を発展させていきたいですね」

部員はみな第一志望の大学に合格

 山岳部にはどのような生徒が入ってくるのだろうか。進学校ゆえ、勉強との両立はできているのだろうか。今井先生はこう説明した。

「入部理由に共通項は見られません。また、高校までの競技種目もバラバラで共通項がありません。つまり、スタートラインはみんな一緒です。部に入って伸びる生徒は、自分でしっかり努力しています。部員はみな部活と勉強を両立させています。夏の大会まで練習に出ても、第一志望の大学に合格しています。インターハイの登山競技に出る学校はうちと同じようなところが多く、どこも部活と勉強の両立ができていると思います」

 なお、普段の活動は男女一緒に行っており、団体女子も好成績を残してきた。2019年度のインターハイは12位、22年度は7位となっている。

 2023年度、岡山操山のおもな大学合格実績は、岡山大46人、東京大4人、京都大8人、大阪大12人、同志社大36人、関西学院大45人、国公立大学医学部医学科9人だ。

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