(写真はイメージ/GettyImages)

 CMで「くわしくはWEBで」を見ると、特に興味があるCMではないのに続きが気になってしまうのはなぜだろうか? 行動経済学ではこの心理を「ツァイガルニク効果」と呼ぶ。マーケティング&ブランディングコンサルタントで昭和女子大学現代ビジネス研究所・研究員の橋本之克(はしもと・ゆきかつ)さんによると「人には途中までのアクションを完了させたい欲求がある」という。橋本さんの著書『ミクロ・マクロの前に 今さら聞けない行動経済学の超基本』(朝日新聞出版)から、「くわしくはWEBで」にモヤモヤしてしまう心理の解説を、抜粋して紹介する。

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「達成」より「中断」を強く記憶する

 テレビ番組のエンディング近くで、「続きはCMの後で!」と中断されると、チャンネルを変えずに待ってしまうことがあります。また全10巻のコミックを9巻まで読み進めたときに最後の10巻がないと気づいたら、読みたくてがまんできなくなることでしょう。

 人は達成できなかった事柄や中断している事柄を、達成できた事柄よりもよく記憶する傾向にあります。完了しないアクションは頭から離れず、終わらせなければならない気持ちが生まれます。やり終えるまで脳の緊張状態が続き、終えたい欲求もなくならないのです。

 この心理は「ツァイガルニク効果」と呼ばれています。

 CMの最後に「続きはWebで」と告げられて、アクセスしてしまうのも「ツァイガルニク効果」の影響です。CMの情報が不完全なため、最後まで知りたくなるのです。

 企業が単に広告を打ってもWebへ誘導するのは簡単ではありませんが、最後まで知りたいという欲求を刺激するとアクセスを促せるというわけです。

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次回予告で「ツァイガルニク効果」