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 CMで好印象のタレントが食べているものがおいしそうに見えたり、良い商品に見えたりするのはなぜだろうか? 行動経済学ではこの心理を「ハロー効果」と呼ぶそうだ。マーケティング&ブランディングコンサルタントで昭和女子大学現代ビジネス研究所・研究員の橋本之克(はしもと・ゆきかつ)さんによると「好印象のタレントのイメージが商品のイメージに直結して、商品も好印象なものに見える」という。橋本さんの著書『ミクロ・マクロの前に 今さら聞けない行動経済学の超基本』(朝日新聞出版)から、CMに反応してしまう消費者心理を抜粋して紹介する。

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 テレビCMで好感度の高いタレントに商品を説明させたり、使用させたりする際の狙いは、タレントがもつイメージを利用して商品の好感度を上げることです。

 タレントと商品が一緒にテレビCMのなかに映っていると、非常に近いものと判断されます。そこでタレントの印象が「ハロー効果」となり、商品の印象もタレントと同じように良く見えるわけです。

一つの印象が全体に波及する「ハロー効果」

 人やものに関する一つの鮮やかな印象が総合的な印象に影響する効果を「ハロー効果」と呼びます。自信たっぷりで見栄えの良い政治家は能力があると思ったり、メガネをかけた学生はスポーツが苦手だろうと思ったりするのは「ハロー効果」の影響です。

 「ハロー」とは神様などの頭上に描かれる、尊敬に値することを示す光輪のことです。鮮やかな印象によって後光が差したような状態となり、その対象全体を正しく判断できなくなるのです。

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タレントの「ハロー効果」で商品をアピール