語り手としても聞き手としても類まれなる才能を持つ2人が、月に一度顔を合わせ、お互いの悩みについて語り合う。しかも地上波テレビではなく配信コンテンツである。この企画の建て付けなら、どちらにも逃げ場はない。彼らは誰よりも誠実にお互いの悩みに向き合い、思索を深めていくことになる。
私は夜に見始めて、そのまま深夜まで全6話を一気見した。文字通り目が離せない内容だった。
エピソード1は、2人が下積み時代を過ごした高円寺のカフェで落ち合うところから始まる。思い出の場所を歩き、彼らの頭の中には昔の記憶が次々に蘇っている。そうやって脳内エンジンが十分温まった状態でいよいよトークが走り出す。
直近1カ月の間に悩みや日々の出来事を記録した「1行日記」を読み返しながら、話は進んでいく。最初に星野が読み上げたのは「大人になってもストレスが一向に減らない」という言葉。冒頭からアクセル全開のフルスロットル。
そこに若林は共感を示して「ストレス量は変わらないけど、ないふりをしてますよね」と応じて、星野が「ないふりをしないと社会に受け入れてもらえない、っていうか」と返す。細かい説明抜きで2人がお互いの考えていることを理解し合い、話がどんどん深まっていくのが心地よい。まさに思考のフリーダイビング。
彼らの会話は、人前に出る仕事をしている芸能人同士の芸談でありながら、働くアラフォー男性の等身大の仕事論、人生論でもある。芸能の世界とは縁のない一般人が見ても、心に刺さるパンチラインがたくさん見つかるはずだ。