最近、バイデン政権が半導体分野で対中規制を強化することに対し、米半導体企業の幹部たちからは、「純粋でグローバルな半導体産業、ビジネスが脅かされつつある」とホワイトハウスへの懸念が示され、対中規制を緩和するよう求める声が広がっている。米国内で政治と経済の間で摩擦が見られることは、日本にとっても得策ではない。

 中国はグローバル経済に深く組み込まれており、中国との完全な経済デカップリングは事実上不可能であり(それをやっていくことは重要)、中国を最大の貿易相手とする日本としては、今後も中国との経済貿易関係は維持していくことになる。無論、経済的威圧に対処するための脱中国依存やデリスキング、リショアリングやフレンドショアリングを進めていくことが重要なことは言うまでもないが、経済安全保障の過剰利用による米国の保護主義的な動きには一定の距離を置く必要があろう。安全保障リスクの範囲外の自由貿易の領域において、米国が保護主義的、中国封じ込め的な姿勢を顕著に示しても、日本には経済貿易上の日米同盟は必要ない。