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 軍のハイテク化に欠かせない先端半導体。生成AIの開発や運営にも必須で、世界でますます需要が増している。その半導体をめぐる米国と中国の動きを、日本企業へ地政学リスク・経済安全保障の分野でコンサルティングを行っている和田大樹氏が読み解いた。

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 最近、半導体分野を巡って覇権競争がエスカレートしている。中国は8月1日から、 半導体の材料となる希少金属のガリウムとゲルマニウムの関連品目を対象とする輸出規制を開始した。これにより、今後中国からガリウムなどを輸出する際、事前に中国当局に輸出許可を求めて申請することが義務づけられ、違反した場合には処罰の対象となる。これについて、中国政府は特定国を標的としたものではないと発表しているが、先端半導体関連で対中輸出規制を強化する米国などを念頭に置いた対抗措置とみられる。

 バイデン政権は昨年10月、先端半導体やその技術などが中国によって軍事転用される恐れを警戒し、同分野で対中輸出規制を実行に移した。そして、今年1月、先端半導体の製造装置で世界シェアを持つ日本とオランダに対中規制で協力を呼び掛け、日本は7月下旬、先端半導体関連23品目で対中輸出規制を開始した。

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中国のとらえ方に変化?