AFURI社はホームページやSNSで、「阿夫利山の麓から湧き出る清らかな天然水でスープを仕込んでいることから、『AFURI』と名付けました」と店の名前の由来を説明している。さらに、「らーめんAFURI」のルーツとなった店がこの地にあることを記すなど、山とのゆかりを強調している。
同社は2010年以降、すでに「AFURI」に関する商標を多数取得している。ラーメンだけなく、日本酒の国内展開も視野に入れ、20年に日本酒に関する「AFURI」の商標を取得したという。
一方、提訴された吉川醸造も地元で長年続く酒造会社である。
21年春から日本酒「雨降(あふり)」を販売しているが、商品名の由来について「丹沢大山の古名『あめふり(あふり)山』と、酒造の神を祀る近隣の大山阿夫利神社にちなんで命名したものであり、ラベル『雨降』の文字も阿夫利神社の神職に揮毫していただいたものです」と説明している。
両社が公表した内容によると、昨年8月、AFURI社が吉川醸造の「雨降(あふり)」に付された「AFURI」のロゴが商標権を侵害しているとして同社に文書を送付。双方が弁護士を立てて協議を重ねたが不調に終わり、AFURI社が商標の使用差し止めなどを求めて、東京地裁に提訴したという経緯だ。
吉川醸造側は事態を公表するとともに、「雨降」の読み方を示すためにローマ字でAFURIと記載していることを説明。「そもそも『阿夫利』『あふり』は地域・歴史・文化に根差した名称であることから、当社商標の使用はAFURI社の商標権を侵害するものではないと考えている」との考えを明かした。