松川氏の引きおこした問題は、今も現在進行形で大騒動に発展している。大阪の自民党枚方市支部は8月7日、自民党大阪刷新本部本部長を務める茂木敏充幹事長に対し、松川氏の参院選挙区支部長からの更迭を申し入れた。維新の躍進に恐怖を感じている大阪の自民党支部としては、松川氏のスキャンダルは許しがたいというわけだ。
朝日新聞が8月19日と20日に実施した全国世論調査で、自民党の支持率は28%と低調だった。前回7月の調査に続き2か月連続で20%台と低迷しており、これは2012年12月以来の現象だ。これまで安定した支持を得ていた自民党の人気が急落した原因の1つとして、フランス研修旅行に対する批判も挙げられている。伊藤氏もこう分析する。
「松川氏の引きおこした騒動で、解散総選挙の日程は完全な白紙になってしまいました。自民党は“ポスト岸田”が不在ということもあって党内は沈黙。バラバラの野党は反自民で結束できません。一種の閉塞状況に助けられ、岸田政権は表面的には持ちこたえています。しかし本来であればガタガタと言っていい状況です。総選挙で勝利すれば、小渕優子さんを重用しようとの動きもありましたが、これも白紙となりました。国民の多くはいつか、松川さんに対する批判を忘れるでしょう。自民党として嵐が過ぎ去るのを待つしかありません。とはいえ、松川さんが相当なダメージを自民党に与えてしまったのは間違いありません」
想像力の欠如がもたらした「エッフェル炎上」の影響は、自民党全体を巻き込む事態となっている。
(井荻稔)