これに対して中国は「対立をあおり、冷戦思考の復活を図っている」「中国の内政に粗暴に干渉した」などと激しく非難の声を上げた。

 川島教授はこう語る。

「中国からすれば日米安保だけではなく、中国側から見て中国包囲網と見える枠組みに日本が積極的に加わることに強い不満を持っていました。処理水の問題が提起されている過程で、さらに日米韓といった枠組みが強化されてきたこともあり、処理水の問題を利用して日本に対してその強い不満を表現しようとし、制裁を加えたということだと見ています」
 

対立の行方は

 中国が現在、日本に対して実施している制裁は、全面的な禁輸措置という経済的な制裁のほか、中国国内で日本の厳しい世論を半ば統一的に醸成し、対外的には国際的な日本の評判を落とす宣伝活動、そして日本などに対する「内部浸透工作」だという。

 内部浸透工作とは、フェイクニュースを相手国の国内に流すなどして政府と社会を分断させるという工作のことだ。

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