東京電力福島第一原発の処理水の海洋放出に対し、中国が激しく反発している。中国政府が日本の水産物の全面的な輸入停止に踏み切ったほか、日本各地に中国からと見られる迷惑電話が殺到。止まない電話に振り回された店舗からは、「売上に影響が出ている」との悲鳴が上がっている。経済的な対抗策と、一般市民もターゲットにした「攻撃」。中国の外交政策の専門家は「中国による工作が始まった」と指摘する。
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「もう電話線を抜いてしまいましたよ」
福島県内などでラーメン店を展開する「若武者」グループの山本一平代表は、こう話す。
電話がかかってきはじめたのは、処理水の放出が始まった翌日の8月25日から。朝9時ごろから県内にある4店舗それぞれに電話がかかり始め、一日中電話が鳴り続けたという。
山本代表はこう振り返る。
「多い店舗では1日800件以上かかってきていました。私がとった電話ではカタコトの日本語で『もしもし、元気ですか』とか言って、笑いながら馬鹿にしている感じでした。その他にも『ショリスイ』『カク』といった単語も発して、中国語と日本語で怒鳴ってくる電話もありました」
当初はかかってきた電話に対応してきたが、業務に支障が出てきたため、電話線を抜いた。4店舗で2千件を超える電話があったとみる。被害について、山本代表はこう語る。
「1日10件程度は『今日は営業してますか』といったお問い合わせが来ますから、そういったお客を取りこぼしていると思います。売り上げは1~2万円は下がっているでしょうね。電話がかかってこなかった店舗もあるので、どこかでリストが出回ったんだと思います。笑いごとでは済まされない状況になっている」