不安の震源地は、不動産開発大手の恒大集団だ。経営危機は2021年に明らかになり、50兆円とも言われる負債の巨大さに世界は震え上がった。
それから2年。突如、今度は恒大集団がニューヨークの裁判所に破産法適用の申請を出した。この破産申請は、資産の保全が目的であり、経営破綻と直結しないが、一向に事態は改善していないことがはっきりと印象づけられた。
中国の不動産業界は惨憺(さんたん)たる状況にある。最大手の「碧桂園」という企業は抱えるプロジェクトの規模が恒大の4倍とされるが、8月6日を期限とする利払いを履行できなかった。恒大はまだ都市部の開発が多いが、碧桂園は地方や農村の立地に釣り合わない危ない案件も多いとされるなど、時限爆弾はほかにもある。
住宅需要は年間1千万件あるとされるが、現在、供給はその1.5倍の1500万件に達するとの統計もある。コロナ前に計画された物件が次々と完成しても売れ残りが増えていき、購入者には家電や車の豪華景品だけでなく、「1軒購入したらもう1軒贈呈」という極端な客引き企画まで出ているという。(ジャーナリスト・野嶋剛)
※AERA 2023年9月4日号より抜粋
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