中国東部の江蘇省南京にある恒大の住宅地。中国の不動産危機が深刻化している=2023年8月18日(写真/アフロ)
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 恒大集団が米国で破産申請するなど、中国の不動産業界は惨憺たる状況だ。未完成の物件が放置され、完成しても売れ残っている。AERA 2023年9月4日号より。

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 中国語で未完物件のことを「爛尾樓」と呼ぶ。

 尻尾が腐った建物、つまり最後の仕上げができないまま放置された物件という意味である。

 雑草が生い茂ってコンクリも崩れ落ちかけるマンションが北京、上海などの大都市で頻繁に目にとまるようになった。中国で完成予定より3年、5年と遅れている「腐った尻尾」が出現し、販売した不動産開発会社の玄関で「私の家をください」「お金を返せ」と群衆が悲痛な叫びを上げる光景が広がっている。

 長年の不動産バブルで価格が高騰する中、さらなる値上がりを期待して金融機関や親類からお金を借りるなど無理をして購入した人も少なくない。もちろん終の住処としたい人々もいるだろう。中国人の理想は「安居楽業(仕事に恵まれ、いい家に住む)」。そんな人生設計をすっかり狂わされた人々の思いはいかほどだろうか。

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