帰宅困難者に地下鉄の被災など、首都直下地震では都市部ならではの課題が浮き彫りに(撮影/写真映像部・高野楓菜)
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 首都圏に未曽有の被害をもたらした関東大震災から100年。当時より通信や交通機関が発達した東京でいま、大地震が襲うとどうなるのか、各社に対策はあるのか。AERA 2023年8月28日号より。

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 この100年で私たちの生活は大きく変わった。

 最たるものの一つが、通信だろう。100年前は家庭に固定電話すらほとんどなかったが、今ではスマートフォンの保有世帯率が9割を超える。スマホを含む携帯電話は災害時の安否確認や救助要請、情報収集に使うなど、被災者にとって命綱だ。

 その命綱たるスマホが、都のシナリオでは、地震による停電などで音声通話が困難となり不通エリアが生じる。バッテリーは地震発生から1日以内に切れる可能性が高い、とも言及した。NTTドコモは基地局が被災した場合に備え、半径約7キロをカバーする非常用の「大ゾーン基地局」を関東甲信越に25カ所(都内はうち6カ所)配備し対策を取っているという。

「バッテリー切れには、少しでも待ち受け時間を延ばすモードの『非常用節電機能』を使うことをご案内しています。また、最寄りのドコモショップや避難所での充電サービスもご提供しています」(NTTドコモの担当者)

 地下鉄も100年前にはなかった。日本で地下鉄が開通したのは関東大震災から4年たった1927年。上野~浅草間の約2.2キロだった。それが今や、東京には東京地下鉄(東京メトロ)だけで9路線あり総延長は約195キロ、一日に約595万人(2022年度)が利用する。

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野村昌二

野村昌二

ニュース週刊誌『AERA』記者。格差、貧困、マイノリティの問題を中心に、ときどきサブカルなども書いています。著書に『ぼくたちクルド人』。大切にしたのは、人が幸せに生きる権利。

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