スコットランドでプレーする小田裕太郎(ハーツ)も飛躍が期待される一人だ。2001年8月12日生まれの22歳。スピード感あふれるドリブルが魅力のアタッカー。神戸の下部組織で育ち、U-15時代から世代別代表に選ばれ続け、2020年にトップ昇格するも怪我もあってレギュラー獲得には至らずに不完全燃焼だった。その殻を破るべく、2023年1月に海外移籍を果たす。昨季は半年間で12試合出場1得点に終わったが、今季は開幕節から右ウイングとしてスタメン出場し、鋭い右足シュートでいきなりゴールを決めて勝利に貢献した。国際舞台で活躍する上で身長181センチのサイズ感も大きな武器となり、今後の成長も大いに見込める。
ドイツ2部でプレーする奥抜侃志(ニュルンベルク)も楽しみな存在になってきた。1999年8月11日生まれの24歳。大宮ユースから2018年にトップ昇格を果たし、5年間でリーグ戦91試合に出場して14得点を挙げたドリブラー。2022年8月にポーランドのグールニク・ザブジェに期限付き移籍して26試合で4得点を決めると、今夏にドイツのニュルンベルクに完全移籍した。そして開幕から左ウイングとしてリーグ戦3試合連続でスタメン出場。開幕前に行われたアーセナルとプレシーズンマッチではゴールを決めており、今季活躍の予感を漂わせている。日本時代はJ2でのプレーのみ、現在もブンデス2部だが、トップリーグで活躍できる能力を秘めている。
ひと昔前の日本人選手は、Jリーグで結果を残し、「日本代表」の肩書きを持った上で海外移籍する者が多かったが、近年は欧州クラブのスカウト網と移籍市場が広がったことで、日本でブレイクする前、多くのファンに自身の名前を知られる前に海を渡るパターンが増えてきた。彼らが欧州舞台で名を上げることができれば、日本サッカーの選手層、そして日本のサッカー国力が、さらにアップすることになる。(文・三和直樹)