物価高は、言うまでもなく家計には痛手だ。ただし、物価高を抑えるために金利を上げると、景気が冷え込む恐れがある。斎藤さんによれば、米国がそれでも利上げに踏み切ったのは、景気を多少犠牲にしてでも国民の暮らしを守ろうとするためだという。

「日米の金利差には、そうした日米両政府の国民との向き合い方の違いが表れています」(斎藤さん)

 足元では原油価格も上昇中だ。円安とあいまって、ガソリン代や電気・ガス代の値上がりがさらに進む可能性もある。斎藤さんは続ける。

「ガソリン高を抑えたり、電気代やガス代の値上がり幅を小さくしたりする政府の対策には予算の制約があって政策の効果はおのずと限られます。根本的な解決にはつながりません。その意味では為替介入も同じ。いったんは円安の勢いをやわらげられるかもしれませんが、大きな流れを変えることはできないでしょう。国民の暮らしを本気で守ろうと考えるのなら、対症療法ではなく、根本的な対策を考えるべきです」

(AERAdot.編集部・池田正史)

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