例えば三囲神社の境内にはびっしりと石碑が立っています。こうした石碑は多く書の名人たちが筆をふるいました。多くの碑は漢文で書かれていますが、内容はともかく、文字の美しさに注目してみてください。ほろ酔い気分で(そうでなくてもいいのですが)、桜の花びらがひらひらと舞い落ちる中、石碑の文字をなぞってみると、江戸の文人たちの息吹が感じられて、冷たい石もほんのり温もって、江戸の昔にタイプスリップするような錯覚を味わうことができるかもしれません。書道を習ったことのある人だったらいっそう楽しめることでしょう。

墓石や石碑を訪ねて歩く「掃苔」と花見

先人の遺徳を偲んで墓石や石碑を訪ねて歩くことは、「掃苔」(墓石についた苔を払い清めるという意味)といって昔から行われてきました。こうした石碑が集まっているのは墨堤に限りません。東京では谷中墓地近辺、飛鳥山公園、そして青山墓地など。
そうした場所はたいてい多く桜が植わっています。関東近辺だったら、成田山や鎌倉など、城跡や古い寺社があるところなどには、桜が植えられていることが多いですね。こうした場所には碑が残っていることも多いのです。歴史散歩などとあらためて構えなくても、ちょっと一味違う花見の楽しみ方ができるのではないでしょうか。
ただ、石碑は文化財的な価値を持つものです。手で触れたりすることは禁じられていませんが、扱いには気をつけるようにしましょう。

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