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 人間に、出会うべくして出会う「赤い糸」があるなら、わが家の愛犬・小梅(写真)とも赤い糸でつながっていたに違いない。
 娘が中学に入る前の春休み、前から飼いたがっていたペットショップに見に行った。行く途中で、なぜかあんなに「猫、猫」と言っていた娘が、急に「やっぱり犬のほうがいいかな……」と言いだした。
 実は犬も検討したのだが、犬は室内では飼いづらいし、吠えるとご近所に迷惑がかかる。共働きのわが家では、満足に散歩の時間を確保できるかどうか……。でも、もし犬なら子供の頃に飼っていた柴犬がいいな、と私はひそかに思っていた。
 先に一人で店に駆けていった娘が興奮して戻ってきて、「めっちゃ可愛い柴犬おんで。あの子がいい!」。
 急いで見に行くと、ショーケースの片隅に柴犬がいた。申し訳なさそうにちょこんと座って静かにこちらを見ている控えめな姿に、家族全員ひとめぼれした。
 それから5年。小梅は室内で家族の一員として穏やかに暮らしている。たまにインターホンに反応して吠えたりする以外は本当に静か。散歩中に他の犬に吠えられても吠え返すことはない。私たち家族はもちろん、周囲の犬の気持ちまで穏やかにさせる小梅。人間よりよっぽど空気を読み、みんなが忙しくしている時はじっとして様子を見ている。こちらの状況に余裕がありそうだなぁという時は、そーっと近づいて散歩やおやつのアピール。
 ときには「家政婦は見た!」の市原悦子さんのように柱の陰から顔を半分だけのぞかせていたりする。そんな時はかわいすぎて思わず抱きしめてしまう。
 いるだけで家族みんなの心を穏やかにしてくれる小梅は、やっぱりわが家と赤い糸でつながっていたんだと思わずにはいられない。

(塚田有里さん 京都府/47歳/自営業)

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