
飼い主さんの目線で猫のストーリーを紡ぐ連載「猫をたずねて三千里」。今回は、30代の動物病院受付の由貴さんのお話です。独身時代から一緒にいた“初めての雌猫”が旅立ち、ひどく落ちこんだ後に、ビビりだけど甘えん坊の雄猫と会い、家に迎えます。その猫は、由貴さんだけでなく2匹の先住猫にもよき影響を及ぼしたそうです。
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私の家には今、3匹の猫がいます。10歳の姉妹猫「みこ」と「こまこ」。三毛の「みこ」は気が強くTHE女子!という感じ。サビ柄の「こまこ」はビビりの甘えん坊。そして推定2、3歳の「大福」(通称「大ちゃん」)は、末っ子気質で、文字通りモチモチな抱き心地の雄猫です。
名を呼ぶとにゃあ(はーい)とお返事する、可愛い「大ちゃん」が我が家にもたらしたことについてお伝えしたいです。

白とグレーのブチ模様の「大ちゃん」は、元々お外にいた子。ある時、足をケガした状態でとつぜん保護主さんの前に現れたそうです。その方の家で飼えなかったので、動物病院で過ごした後、昨年5月に愛護団体に引き取られました。地名に「大」のつく場所で保護されたので、「大ちゃん」と呼ばれていました。
そんな「大ちゃん」が我が家に来たのは、昨年12月。夫婦で猫を「求めて」いて、出会ったのです。
姉妹2匹がいるのに猫を求めていたの?と思われるかもしれませんが、じつは私の心は1年半くらい、ぽっかり穴が開いたままでした……。
■家族以上の存在が急にいなくなって
私は2021年3月に、初めて共に暮らした「ヒメ」という猫を亡くしました。高校生の時に家に来た子です。私は家族とあまり仲がよくなかったのですが、楽しい時も寂しい時も常に側にいてくれたのがヒメちゃんでした。家族以上の家族と言ってもいいくらいの存在。
「ヒメ」と共に一人暮らしをした後は、仕事が忙しくかまってあげられない時期も多かったんですが、拗ねたり悪さをしたりすることもなく、帰りを待っていてくれた。本当にお利口さんでした。