――これまでの出演作を振り返ると、ミステリーやサスペンス作品が少なくない。こうした作品の魅力はどこにあるのだろうか。

前田:『ウツボラ』もそうなんですが、読んでいて最後まで真相がわからない作品って、わかった瞬間に「うわあ!」って驚くし、記憶に残っていくじゃないですか。私はそういう作品を読むのも見るのも好きなのかもしれません。昔の映画だと「スティング」とか。でも、好んでミステリーを選んでいるわけではないんです(笑)。そうではない作品も見るのは大好きなんですけど、(出演作は)見ていただく方に何かハッとしてもらえる瞬間があると、うれしいですね。

■全く違うアプローチ

――「ウツボラ」は配信もされる予定だ。

前田:配信されると聞いて、WOWOWをあまり見たことがない若い方に見てもらえるきっかけになればいいなと思っています。映像が本当に素晴らしいので、きれいなものをたくさん見ているうちに、ミステリーに引き込まれてもらえたらうれしいです。ロケ地はすてきな場所がたくさんありました。(ドラマに出てくる愛知県蒲郡市の)桜並木は東京で見る桜よりも目線が低いので、すごい迫力なんですよ。東京では絶対に見られない桜が見られます。この春の放送なので、ぜひ遊びに行ってほしいです。

 私は今回、普段とは全く違うアプローチでお芝居をやらせてもらいました。多分、二度とこういうふうに演じることはないだろうなと思います。他の何にも似つかない作品に出合えてすごく幸せでした。

(構成/フリーランス記者・坂口さゆり)

AERA 2023年3月27日号