吉田豪、渋谷ロフト9、なにやらこの時点でワクワクします。「すげえ、トークイベントみたいじゃん!」という感じです。いや実際トークイベントなわけですが、さらにワクワクすることに、お客さんはもちろん、登壇者もお酒を呑んで全然オッケーとのこと。

「もちろんさ、人前で、しかもお金をお支払い頂いて来てくださる皆さんの前で喋るわけだから、十中八九、呑まないと思うんだけど、一応ね。あくまで一応。十中八九呑まないんだけど万一。万一その場の空気でね、呑まざるをえない、みたいな空気にね、会場がなった時のために一応ね。タクシーで行くね」

 そう長々とマーツーに言って、家を出ましたが、タクシーの中でも楽屋に入ったあとも、ずっとソワソワ。ロフト9のスタッフさんからお酒とおつまみのメニューを渡されたあとは、さらにソワソワ。

 で、開演。豪さんと一緒に登壇。お客さんいる(←当たり前)。椅子に座る。マイク持つ。第一声、

「すみません、注文いいですか?」

 お前は普通に居酒屋に来た客か、みたいな感じですが、そして「みたいな感じ」どころか、まさに居酒屋の客そのものなわけですが、「枝豆」「ささみの竜田揚げ」「たこの唐揚げ」、そして「生ビール」を注文し、肝心の出版本のことはまだ1ミリも喋ってないのに、渋谷ロフト9を一瞬にして新橋のガード下に変えたのはこの僕です。

 いや、ちょっと本当に怒られそうなので、ちゃんと書きますが、そのあと、さすがの吉田豪からの魅惑的な質問にお答えしたり、もちろん本のこと、芝居のこと、監督作品のこと、いろんな話を濃密にいたしました。会場のお客さまのご質問にお答えしたり、サイン本のお渡し会では、短い時間でしたがお客さま、お1人お1人の生の声が聞け、本当に楽しく、充実した時間を過ごせました。

 そして「心のおもらし」の装画を担当してくださった大好きな漫画家、新井英樹さんを無理矢理、途中から登壇させ(新井さん、すみませんでした!)、本当に大袈裟でなく、夢のように楽しい時間でございました。

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当然、酔っぱらい…