俳優・佐藤二朗さん

 個性派俳優・佐藤二朗さんが日々の生活や仕事で感じているジローイズムをお届けします。今回は「新橋のガード下と化したトークイベント」について。

【音声で聴く】佐藤二朗が「役立たずの美学」を語る!?

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 先日ですね。

 拙著「心のおもらし」発売記念のトークイベントがありまして。

 ごめんなさい、いきなり話が逸れますが、「拙著」っていいですね。無論、自分の著書をへりくだって使う言葉で、僕もなんとなくカッコよさげだからという小学生のような理由で使っていますが、「拙著」という字ヅラも、「せっちょ」という響きも、なんかいい。拙著「船長の成長」みたいな本が出たら、なおいい。もう字ヅラと響きの良さからいったら、「脱糞」くらいにいい。ただやはり、「放屁」には及ばない。つまり僕の中で、「拙著」は「脱糞」に並ぶほどの上位に躍り出ましたが、やはり「放屁」にはまだまだ到達しない、そんな結論に至ったわけですが、ホントに早く誰か僕を止めなさい。怒られます。世間さまにも怒られますし、担当K氏にも怒られますし、なによりマーツー(妻)に怒られますので、手の空いてる人は早めに僕を止めなさい。最低でも「脱糞」が出てきた時点で僕を止めなさい。体を張ってでも。

 さて冒頭から盛大に話が逸れましたが、そうなんです。先日、拙著「心のおもらし」発売記念のトークイベントがあったんです(2回目)。

 聞き手はプロインタビュアーの吉田豪さん、場所は渋谷ロフト9。

 いいですね。とてもいい。「脱糞」くらい、いい。ごめんなさい冗談です。豪さん、ロフト9さん、冗談ですから怒らないで。もう書きません。脱糞はもう書きませんのでお許しください。なんか今日は脱糞と書きたい気分ですが、もう脱糞とは書きません。脱糞のことは忘れようと思います。頭から脱糞のことは追い出そうと思います。脱糞とはサヨナラします。「サヨナラ、脱糞」です。「サヨナラ、夏」みたいに書いてしまいましたが、そして脱糞を繰り返し書いてたら、なんか脱糞の意味か分からなくなってきて、脱糞の罪悪感が薄らいできましたが、ちょ、だから止めなさいって。なにを黙って読んでるのアナタ。怒られるの俺なんだから。どんどんトークイベントが遠ざかっていくじゃないの。

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佐藤二朗

佐藤二朗

佐藤二朗(さとう・じろう)/1969年、愛知県生まれ。俳優、脚本家、映画監督。ドラマ「勇者ヨシヒコ」シリーズの仏役や映画「幼獣マメシバ」シリーズの芝二郎役など個性的な役で人気を集める。著書にツイッターの投稿をまとめた『のれんをくぐると、佐藤二朗』(山下書店)などがある。96年に旗揚げした演劇ユニット「ちからわざ」では脚本・出演を手がけ、原作・脚本・監督の映画「はるヲうるひと」(主演・山田孝之)がBD&DVD発売中。また、主演映画「さがす」が公開中。

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