人付き合いの中で、ほどよい距離感でいることは大切だ。プライベートなことをまったく話さないと「壁がある」と思われたり、逆に自分のことを何でも話して相手のことも何でも聞くと「デリカシーがない」と思われたり。心理カウンセラーで「自分中心心理学」を提唱する心理相談研究所オールイズワン代表の石原加受子さんは、「『何でも打ち明け合えるのが親友』と思っている人がいるが、逆にそれは『何でも打ち明けなければならない』になる」と話す。石原さんが監修した『心理学でわかる 女子の人間関係・感情辞典』(朝日新聞出版)から、とりわけ女性同士の人間関係のほどよい距離感について紹介する。
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女性同士の関係を心地よいものにする最大のポイントは、ほどよい距離を保つことです。「距離」というと冷たい感じがするなら、「境界線を引く」「領域を守る」と言い換えてもいいでしょう。
「何でも打ち明け合って、何でも共有できるのが親友」だと思っている人がいます。一見、それは素敵なことのように思えるかもしれませんが、それを前提にすると、「何でも打ち明けなければならない」となります。
だから、単に相手が、別の友だちと遊びに行ったというだけで「裏切られた。許せない!」となってしまうのです。
しかし実際には、仲がいいから、家族だからといって、相手のことを何もかも知っているわけではないし、その必要もありません。自分のルールを押し付けて、相手の行動を操作することもできません。それは友だちではなく親分・子分の関係です。
人は誰でも、自分だけの世界をもっています。自室で気持ちよく過ごしているとき、誰かがノックもせずに入ってきたら不快に感じませんか? 「自分の部屋どころか、玄関でもイヤだ」という人もいれば「いいえ、まったく平気です」という人もいるでしょう。
境界線の引かれる範囲は本当に人それぞれです。私たちはそれを互いに認め合うしかありません。