まんと曰く、高知県民の折り鶴はこの『雌鶴(メンヅル)』なるものがスタンダードらしい。「高知以外は基本雄鶴(オンヅル)なんですね……初めて知りました……」だそうです。
早速「おりづるの壁」へ鶴を落とす。私の『オンヅル』は独楽のようにクルクル回りながらゆっくり落ちていき、一方まんとの『メンヅル』は空気抵抗を受けることなく猛スピードで一直線に落下していった。「こういう時、あっけないですね……メンヅルは」。
折り鶴も『さまざま』。まんと、広島、おりづるタワー。この組み合わせがなけりゃ私は生涯『メンヅル』と出会わなかったかもしれません。旅の仕事はいろんな出会いがありますなぁ。
さて、今度はメンヅルの折り方でも覚えてみよか。
春風亭一之輔(しゅんぷうてい・いちのすけ)/1978年、千葉県生まれ。落語家。2001年、日本大学芸術学部卒業後、春風亭一朝に入門。この連載をまとめたエッセー集の第1弾『いちのすけのまくら』(朝日文庫、850円)が絶賛発売中。ぜひ!
※週刊朝日 2023年3月31日号