『まるごと覚えて 頭も良くなる A4・1枚記憶法』池田 義博 東洋経済新報社
『まるごと覚えて 頭も良くなる A4・1枚記憶法』池田 義博 東洋経済新報社
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 学生時代の勉強において欠かせないのが暗記。定期試験や入試に向けて、マーカーを引いた箇所を下敷きで隠して覚えたり、ブツブツとつぶやきながら語呂合わせの年号を頭に入れたりした人も多いはず。社会人になってからも、仕事や資格試験、スピーチなどでなにかを覚えることは必要ですし、知識の蓄えは教養を深めたり、人との会話を豊かにしたりする効果もあります。「人並以上の記憶力がほしい」と誰もが一度は思ったことがあるのではないでしょうか。

 そんな、記憶力を鍛えられて、しかも「一瞬で大量に記憶できる」という夢のような方法を教えてくれるのが、書籍『まるごと覚えて 頭も良くなる A4・1枚記憶法』です。著者は、「記憶力日本選手権大会」で6度の優勝を収めたほか、「世界記憶力グランドマスター」の称号を日本人で初めて獲得した池田義博さん。

 池田さんが伝授するのは、1枚のシートを使った記憶法です。まずA4サイズの紙を縦半分、横半分に折って、全体に大きな十字の折り目をつけます。同書では左上を第1象限(問い)、右上を第2象限(答え)、左下を第3象限(文字によるイメージ化)、右下を第4象限(図やイラストによるイメージ化)とし、第1から順に第4の象限まで手書き(手描き)で記入していきます。

 たとえば、「tremendous」という英単語の意味を覚えたい場合を例にとってみましょう。第1象限に「tremendousの意味は?」と問いを記し、第2象限には「すさまじい、ものすごい」と答えを記します。第3象限には、第1・2象限を見て気づいたこととして「トリメンダス→鳥、目、出す」と文字で表します。第4象限には、第3象限を受けて、鳥がすさまじい勢いで目を出すイラストを描きます。これは落書きのようなタッチで十分です。

 シートの記入が終わったら、第1~第4象限の順に眺めて答えを覚えてから、第1象限の問いだけを見て答えを思い出します。正答できたら記憶は完了。間違った場合は、間を置いて復習。まったく思い出せない場合も間を置いて復習するのですが、第3・4象限に加筆修正するなどして印象を強める工夫ができれば理想的だそうです。

 なぜこのような方法が良いのかというと、あらゆる情報はイメージ化によって記憶に残りやすくなるからです。

「情報をイメージに変え、頭の中にそれを思い浮かべることで、脳はその情報を『経験した』と勘違いしてくれる」(同書より)

 さらにこのA4・1枚記憶法のシートであれば、そのままでも携帯しやすく、壁にも貼りやすく、空書もしやすい。さまざまなシチュエーションに対応できる点が優れているといえます。

 ちなみに先ほどの「tremendous」の覚え方は、記憶法の中でも「語呂合わせ型」という技法のひとつ。同書ではほかにも「落書き式」「共通点式」「頭文字式」など全部で10の形式が紹介されています。覚えたい事柄にマッチしたスタイルを用いることで、より効率よく記憶できるでしょう。

 老若男女、ゲーム感覚で取り組めそうな「A4・1枚記憶法」。記憶力を高めることで、想像力や発想力、判断力、読解力といった能力全般の向上も期待できるといいます。気になった方は、同書を読んで試してみてはいかがでしょうか。

[文・鷺ノ宮やよい]