――桜利斗くんの異常に気付くも、すぐに119番通報せず、「どうしよう」とリビングをうろうろしましたね? 母親に電話してと言われるまで119番通報しなかった。自分がどうなるかと考えて、しなかった? すぐに通報すればいいのに時間が無駄になった?
「そうです。すぐに通報すべきでした」
――桜利斗くんが泣いていて面白かった?
「自己中心的でした」
――あなたのしたことで桜利斗くんは亡くなってしまったがどう思っているのか?
「本当にひどいことをしました」
また、松原被告は最終陳述で、
「あなた(母親)が桜利ちゃんのことをどれだけ愛していたか、僕は見てきた。あなたの気持ちを考えるのが怖くて本当のことを言えなかった」
と反省の気持ちを見せながらも、桜利斗ちゃんに重いやけどを負わせたことは、
「感情が爆発したが、シャワーをかけたりしていない」
と否定していた。
弁護側は、松原被告が桜利斗ちゃんにずっと熱湯をかけ続けたという検察の主張について、「検察は客観的な証明はしていない。医師の鑑定でもその点の証明がなされていない」と否認し、「殺意はない」と主張。傷害致死罪が妥当だと反論していた。
14日の判決で裁判長は、
「シャワーで60度のお湯をかけて、死ぬと考えることができたのか疑問。松原被告は深刻に考えていなかった」
「人が死ぬとまで松原被告が思っていたところまで検察は立証していない」
として、殺人罪ではなく、傷害致死罪にとどまると説明した。
だが、次のようにも指摘した。
「傷害致死では最も重い部類の犯行。事件から2年近くたち、今も虚偽の弁解を述べている」
母親の知人が、心情を代弁する。
「今も母親はショックで精神的に不安定な感じで、きちんと仕事にも行くことができていません。松原被告は桜利ちゃんをかわいがるふりをして、母親がいない間にいじめていたことも裁判でわかりました。母親は桜利ちゃんを本当にかわいがっていた。松原被告の反省がみられない態度に失望し、悲しみに暮れています」

(AERA dot.編集部 今西憲之)