優勝争いでカギを握りそうな阪神・佐藤輝明
優勝争いでカギを握りそうな阪神・佐藤輝明
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 前半戦が終了した今年のプロ野球。残り試合数は約60試合となったが、特に混戦となっているのがセ・リーグだ。シーズン序盤は阪神が快調に首位を走ったものの、セ・パ交流戦で負け越すなど失速。一時はDeNAに首位を明け渡している。しかしそのDeNAも7月に入ってからは負けが込み、前半戦最後の3連戦では広島に3連敗を喫し、3位に転落した。そして巨人と3位争いを繰り広げていた広島は前半戦の最後を5連勝で締め、首位阪神に肉薄している。

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 上位3チームのゲーム差はわずかに3.0。セ・リーグのペナントレース争いはこの3強が中心になる可能性が極めて高いと言えそうだ。ではここから抜け出すチームはどこになるのだろうか。各チームの優勝へのポイントとキーマンを探ってみたいと思う。

 総合力で見るとやはり有利だと感じられるのは阪神だ。チーム防御率は広島、DeNAを大きく上回るリーグトップの数字をマークしており、失点が計算できるというのが何よりも大きい。先発では大竹耕太郎と村上頌樹の2人が新たな柱となり、前半戦不調だった青柳晃洋も復帰し、復調の兆しを見せている。

 他にも伊藤将司、才木浩人、西純矢が安定した投球を見せており、西勇輝も悪いなりに勝ち星はある程度稼いでいる。リリーフも抑え候補だった湯浅京己が故障で離脱しながらも岩崎優、岩貞祐太、加治屋蓮、石井大智などが安定したピッチングを披露し、投手陣の層の厚さはさすがという他ない。

 一方の打線に関してもチーム打率、本塁打数ともにリーグ下位に沈んでいるが、1試合あたりの得点数はDeNAに次ぐ2位と決して得点力が低いわけではない。特に目を見張るのがリーグでダントツの四死球の数で、出塁率もリーグトップの数字となっている。盗塁や犠打など細かい野球で1点を奪えるのも大きな強みと言えるだろう。そんな阪神のキーマンになりそうなのが近本光司と佐藤輝明の2人だ。近本は打率こそ.275ながら4割近い出塁率と4割を大きく超える長打率でリードオフマンとして十分な役割を果たしている。7月2日の巨人戦で死球を受けて右肋骨を骨折し戦列を離れているが、万全の状態でいかに早く復帰できるかということが大きなポイントとなりそうだ。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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