佐藤は開幕から極度の不振に陥り、6月には二軍調整も経験。ただそれでもホームラン10本はチームトップタイ、42打点はチーム2位と大きな得点源になっていることは間違いない。7月もここまで打率1割台前半と苦しんでいるが、前半戦最後のゲームとなった7月17日の中日戦では決勝のスリーランを放ち、良い形でオールスターブレイクに入ったのはプラスである。佐藤が不振となれば主砲の大山悠輔へのマークが厳しくなるだけに、それを分散させる意味でも重要な存在だ。後半戦、近本、佐藤の2人が本来の調子でプレーすることができれば、18年ぶりの“アレ”も見えてくるだろう。

 前半戦を5連勝という最高の形で締めくくった広島は先発投手陣が大きな強みだ。エースの大瀬良大地こそ3勝7敗と大きく負け越しているが、九里亜蓮(6勝4敗)、床田寛樹(8勝2敗)、森下暢仁(5勝2敗)と3人が揃って貯金を稼いでおり、防御率も揃って2点前後と安定した成績を残している。ベテランの野村祐輔に復活の兆しが見え、2年目の森翔平も見違えるほど力強いボールを投げ込んでおり、先発ローテーションに関しては阪神と比べても引けを取らない印象だ。

 ただ一方でリリーフは矢崎拓也、ターリー、島内颯太郎の3人に少し疲れが見えてきており、先発に比べると手薄な感は否めない。野手陣も西川龍馬、坂倉将吾以外の主力は秋山翔吾、菊池涼介、田中広輔などベテランが多く、疲れの出る夏場は成績を落とす心配がある。25年ぶりの優勝を果たした2016年の鈴木誠也(現・カブス)とまではいかなくとも、もう少し若手の突き上げがないと、勢いで優勝するのは難しいだろう。

 現在3位のDeNAの強みはやはり破壊力のある打撃陣だ。ここまでホームランこそそれほど多くないものの、チーム打率、1試合当たりの得点数はいずれもリーグトップの数字をマークしている。牧秀悟、宮崎敏郎、佐野恵太の中軸が安定しており、関根大気が1、2番打者として定着したのも大きなプラスだ。不振のソト、怪我からなかなか復帰できていないオースティンが復調してくればさらに得点力はアップすることになるだろう。ただ阪神とは対照的に打率の割に出塁率が高くなく、盗塁数もリーグ最下位と細かい攻撃ができないのは大きな弱点だ。

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DeNAは中継ぎが弱点か