あまり押し付けたくはないけど、この連載を読んで、サウナに少しでも興味が頂いた人は、ぜひ一度体験してみてほしいな。サウナにトライする前に、一つだけ、あえてアドバイスするなら、「ととのう」ってことを、あまり意識し過ぎないほうがいいかも。そこを意識しすぎると、純粋に楽しめなくなると思うんだ。「みんなととのっているのに、自分だけ、なぜ、ととのえないんだろう」とかって、変に考えてしまったりね。実は、ボクもそうだった(笑)。だから、他の人とは少し違ったとしても、自分が「ととのった」と思ったら、もうそれでいいやってくらいに、気軽に考えるのがおすすめだよ。
●サウナは日本の文化になる
サウナって、ここ数年で、全国各地にめちゃくちゃ増えたと思うけど、それぞれのお店に個性があって、ほんとうに面白い。
当然だけど、東京にあるような都会のサウナと田舎のサウナって、まったく違うからね。
都会のサウナは、店内の雰囲気はおしゃれで、スタッフのサービスや設備などもかゆいところまで手が届いているっていう印象が強い。それに比べて、田舎のサウナは、やっぱり交通の便や場所など、不便なところが多いんだけど、不便だからこそサウナに入った瞬間の感動は、格別なものって感じがする。それに、何と言っても、あれだけの雄大な自然の中で、サウナに入れるっていうのは、田舎ならではの魅力だよね。
だから、観光名所や名物などがあまりない田舎の地域でも、サウナを常設するだけで、もしかしたら、町おこしみたいなことにつながったりもするかもしれない。コロナの影響で、つぶれかかっていた老舗旅館が、起死回生を狙って、サウナを作ったら客足が戻ってきた、なんて話もよく聞くし。あるスキー場では、夏限定で、ゲレンデにサウナテントを設置して、ちゃんと利益につなげたりもしているみたい。
そんなふうに考えると、サウナって、いろんな可能性を秘めているような気がするから、ほんと、すごいよね。
日本人って、基本的に、お風呂が大好きな民族だから、このブームは、しばらく続くんじゃないかな。タピオカやジンギスカンのような一過性なブームじゃなくてね。もしかしたら、日本の文化の一つみたいになっていく可能性だってある。
ボクは、以前「サウナで町おこしなんかやめてよ」なんて思っていたくせに、今では、サウナで地域活性化なんて当たり前だ!どんどんやったほうがいい!みたいな感覚になっているんだから、驚きだね(笑)。
ボクなんかが言うのもおこがましいけど、それだけサウナは魅力があるってことだしん!
(構成/AERA dot.編集部・岡本直也)