「コンビニ百里の道をゆく」は、53歳のローソン社長、竹増貞信さんの連載です。経営者のあり方やコンビニの今後について模索する日々をつづります。
【写真】買い物などで多くの人が行き交う東京・渋谷のスクランブル交差点
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「アフターコロナ」という言葉をよく聞くようになりました。そんな中、「買い物に時間をかける人が増えている」という調査結果があるそうです。
コロナ禍では、買い物に訪れる頻度は減り、お店での滞在時間も短くなる傾向がありました。新商品やサービスを試したいという人は減り「食べ慣れたものや使い慣れた生活必需品を」という需要が高まりました。
その中で、「短い時間で、ささっと買い物ができて便利」と改めて見直されたのがコンビニです。私たちもそれに合わせて、日常のベースとなる商品──たとえば牛乳やパン、豆腐や納豆、お惣菜や冷凍食品などの品ぞろえを充実させて、お客様から「日常使いできる」と高い評価をいただき、コンビニの使われ方がコロナ禍で大きく変わりました。
アフターコロナでは、完全リモートから週に何回かは出社というケースも増えるなど、働き方にも動きがでています。平日が活気を取り戻してくる中で、「日常使いできる」ことにお気づきいただいたコンビニの存在は、ますますお客様に頼りにされる便利な存在になれると思います。
一方で、感染リスクを気にせず、週末は百貨店やスーパーなどで、ゆっくり時間をかけて買い物をしたいという方も増えるかもしれません。買い物の仕方に、平日と週末でメリハリが出てくるような感じでしょうか。
このような変化を受け、ローソンでは日常使いの商品に加え、買い物の楽しさを感じていただく工夫をしています。たとえば、お客様にとっての「選ぶ楽しさ」を意識した「冷し麺」では商品数を増やし、和・洋・中とさまざまなジャンルのものを取りそろえています。何度来ても飽きることがなく、ご来店いただく頻度を上げていただけるようにしたいと考えています。
竹増貞信(たけます・さだのぶ)/1969年、大阪府生まれ。大阪大学経済学部卒業後、三菱商事に入社。2014年にローソン副社長に就任。16年6月から代表取締役社長