自虐ネタで笑いをとる人や、何かトラブルがあっても他人のせいにしない人は、すぐれた人格の持ち主といわれる。しかし、早稲田大学スポーツ科学学術院教授で精神科医の西多昌規さんは、「自虐することで心が消耗する」という。考え方・行動を少し変えるだけでスーッと心が軽くなることも多いそうだ。西多さん監修の『やめてもいいこと86 心の疲れをとる事典』(朝日新聞出版)から、自己否定し過ぎな人の2つの特徴を紹介する。
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「私、太ってるから」や、「俺、バカだからさぁ」と「自分を下げる」ことをネタに会話をするのがクセになっている人はいませんか?
相手とのコミュニケーションツールとして、自虐をする行為は、その場は『笑い』をとったように感じるかもしれませんが、実は自分が消耗するのはもちろんのこと、言われた相手もどうリアクションをとればいいのか困ってしまう場合もあります。
本人の自虐的発言がなければ「なんとも思っていなかった」ことを聞かされてしまい、かえってネガティブなイメージを抱いてしまうことも。特に外国人とのコミュニケーションにおいては、自分に自信がないということはマイナス評価につながるため自虐的な発言や態度はNGです。
自虐の背景には、コンプレックスが原因の場合があります。この場合、本人の傷つきたくない思いが、自虐という「自己卑下することで自分を守る術」になってしまうのです。他にもまわりに気を使うあまり、自虐で場を盛り上げようとしてしまう、行きすぎた気遣いが原因の場合などもあります。しかし、これをクセにしてしまうと、繋がるはずだった縁も逃してしまいます。弱点ばかりを話す自虐ではなく、さまざまな面を見せる「自己開示」をしていきましょう。
■何かあると「自己責任」だと思ってしまう
景気が悪化し就職に失敗しても自己責任、シングルマザーでお金も時間もないなかで子育てをしていても自己責任、老後に貧しい暮らしをしていても自己責任……いまの日本では自己責任という言葉が、無責任に独り歩きしています。