同塾出身の鹿児島県奄美市の安田壮平市長は、首長会に参加したことを、SNSでこのように記している。

<松下政経塾出身首長会 : 現役首長13名のうち10名が参加して、各自治体のイチ押し政策を共有しました>

 会合のあとの懇親会は、同日の午後6時半から都内のホテルで開催された。会費は1万2千円だったという。

 つまり、政治的な意味合いもある会合や、私的な懇親会の案内を、入間市職員が流していたともいえるだろう。ちなみに、地方公務員法第36条で、地方公務員は政治的行為が制限されている。

 杉島市長のオフィシャルサイトによると、市長は早稲田大学から日本政策金融公庫に入庫し、2010年に松下政経塾に入った。その後、小野寺五典元防衛相の秘書を経て、2015年に埼玉県議となり、2020年に入間市長に就任した。

 杉島市長の携帯電話にかけると本人が出た。

 首長会について、「幹事はしておりました」と話すので、

「松下政経塾関連の会合と入間市役所はどう関係があるのか」

 と聞くと口ごもり、

「市役所の秘書課に文書で連絡をしてほしい」

 と答えた。そこで案内の「問い合わせ先」になっていた、秘書課の担当者に聞くと、

「(案内の)メールは送っています」

 と認めた。さらに、入間市と松下政経塾の関係を聞くと、

「(入間市とは)直接はないもんになります」

 とはっきり答えた。「詳細な質問は文書でほしい」と求めるので、出欠の連絡先にもなっていたメールアドレスに質問事項を6点送信すると、以下のような回答だった。

「市長が全国の首長とネットワークを形成する枠組みの会は多数あり、松下政経塾出身首長会もその一つです。首長会会議は、衆議院議員第一議員会館にて開催され、各首長からの政策報告と意見交換会が主目的であり、この事務局を幹事市である入間市が担いました。会議後の懇親会は、付随的な事務の一環として案内を出しましたが、松下政経塾の呼びかけにより、国会議員や地方議員も参加して開催されたものです」

次のページ 「コンプライアンス以前の問題」