「第12回松下政経塾出身首長会の開催について(ご案内)」という文書が、この4月、松下政経塾出身の政治家のもとに届いた。松下政経塾を出て全国各地で知事や市区町長を務めている首長が集まる「首長会」とその後の懇親会が6月7日に開催されるという案内の文書なのだが、問題は差出人だ。
【資料】入間市の秘書課から送られた“問題”の文書とメールはこちら
「こんなものが入間市から届いて、なんだろうかと驚きました」
と話すのは、文書をメールで受け取った同塾出身の国会議員。
メールの「差出人」は埼玉県入間市の企画部秘書課の職員で、案内の「問い合わせ先」も同課となっていた。
<出欠については、5月19日(金)までに、添付の『出欠回答』により、メール又はFAXにて入間市秘書課へご回答いただきますようお願いいたします>
と書かれ、秘書課の担当者名やメールアドレス、市役所の住所、電話番号、FAX番号などが記されていた。
案内に記載された発信者は、入間市の杉島理一郎市長だった。杉島市長は同塾の31期卒塾生で、首長会幹事も務める。
松下政経塾は、パナソニックの創業者、松下幸之助氏が、
「我が国を導く真のリーダーを育成しなければならない」
との理念で、1979年に設立した公益財団法人。全寮制の生活をしながら研修を重ねた塾生は、卒業後、政官財など各分野で活躍する。とくに政治家では、野田佳彦元首相、高市早苗経済安全保障担当相、松野博一官房長官ら、閣僚も多く輩出している。同塾ホームページによると、卒塾生の現職国会議員は、衆院議員が26人、参院議員が9人。首長では知事が2人、市区町長が11人となっている。
しかし、その塾の案内を、市長が税金で営まれる入間市役所の職員に代行させ、「幹事役」のようにとりまとめさせるのはいかがなものか。
この首長会は、実際に6月7日に東京で開催された。
「最初に会合を開き、そこで意見交換などをして、その後、懇親会です。この時期は全国市長会が東京で開催されるので、集まりやすいタイミングなのでしょう。新型コロナウイルス感染拡大で、5年ぶりに開催されたと聞いています」(同塾関係者)