以前、うちの息子が学校から帰ってきたとき、服が少し破れていたことがあった。その日、先生から電話があり、友達の生徒が息子の服を引っ張って少し破けてしまったと。その夜にわざわざ、相手の生徒さんとお母さんが謝りに来てくれたのですが・・・。

 ふとその夜に妻と話していて思い出す。以前、うちに遊びに来た、息子と同じクラスの女の子の友達が教えてくれたことがあった。笑福が給食の時間に、ある生徒のパンに指を突っ込んでしまい、食べることが出来なくなってしまったと。そのある生徒が、その日謝りに来てくれた生徒だった。

 そして考える。その日は服が破れたのはうちの息子だが、それより前に、その生徒のパンを食べられなくしてしまっている。そもそもうちの息子が悪いんじゃないかと、ドキドキしてくる・・・。

 この映画を見て、そのことを思い出した。自分の方からしか見えてない景色で様々なことを判断してしまう。それは仕方ないことだが、知らず知らずのうちに、その判断が人を傷つけたり、いつの間にか加害者になっていることもあるのだと。

 この映画は見ていて、とても痛い。でも、きっと自分の近くにある物語だと思う。だからこそ、親の立場を経験したことのある人はより、見るべきだなと思う。

鈴木おさむ(すずき・おさむ)/放送作家。1972年生まれ。19歳で放送作家デビュー。映画・ドラマの脚本、エッセイや小説の執筆、ラジオパーソナリティー、舞台の作・演出など多岐にわたり活躍。パパ目線の育児記録「ママにはなれないパパ」(マガジンハウス)、長編小説『僕の種がない』(幻冬舎)が好評発売中。漫画原作も多数で、ラブホラー漫画「お化けと風鈴」は、毎週金曜更新で自身のインスタグラムで公開、またLINE漫画でも連載中。「インフル怨サー。 ~顔を焼かれた私が復讐を誓った日~」は各種主要電子書店で販売中。コミック「ティラノ部長」(マガジンマウス)が発売中。

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