藤田亜矢子さん(撮影・米倉昭仁)
藤田亜矢子さん(撮影・米倉昭仁)

 度重なる利上げで欧米の経済に減速感が出始めている一方、日本のPMI(購買担当者景気指数)は突出している。

「なので、相対的に日本経済が強く見える状況は明らかにあると思います。円安の影響もあって外国人旅行者の関心はすごく高いですし、これまで日本に来たことがなかった投資家も日本へ関心を示しています」

 アフターコロナの経済回復や外国人の積極投資が日経平均を上昇させている、という報道もよく目にする。

 ところが、藤田さんは「それだけではこの株価上昇は説明がつきません」と懐疑的だ。

■実質的に大幅な金融緩和

 実は今、インフレによって実質金利が大幅に下がり、インフレ対策として株や不動産に資金が流れやすい状況が生まれているという。

「これまで、リーマン・ショックなどで実質的な金利が一時的にマイナスに振れることはありました。ところが現在の実質短期金利はマイナス3%くらいです。そんな数字はコロナ前には見たことがありません。これが何を意味するかというと、もはやバブルを生み出しかねない条件なんですよ」

 しかも、この状況は一過性のものではなく、マイナス2%程度の実質短期金利が今後、数年間は継続すると予測する。

「歴史的なインフレ下にもかかわらず、日銀が動かないことで、結果的に大幅な金融緩和の状態になっています。普通、この金利を考えれば、株を買うか、不動産を買う、ということになるでしょう。この流れは日銀が止めなければ、止まりません。もしくは、急にインフレ率が下がるか、ですね」

 日銀は今のインフレは一時的なもので、今後3年間のインフレ率を約1.8%と見込んでいる。しかし、藤田さんの目には日銀のインフレ予測は相当あまいと映る。

 独自のシミュレーション結果を基に「日銀の植田和男総裁が言う『今年度半ばにかけて2%を下回る水準に低下していく』というインフレ見通しは、いったい何を根拠に語っているのでしょうか」と指摘する。

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